「風評」という言葉を見極めよう 斎藤美奈子氏 [風評被害]
☆「風評」「風評被害」という言葉は、東電、政府が、「実害」の責任逃れと情報隠蔽の正当化のために使いはじめた、実に巧妙な手口です。生産者と消費者を対立させて実害の責任追及が東電・政府に向かわないようにする為でもあります。生産者も消費者も両方共被害者なのです。日本中の被害農、畜産物は、全部、東電が買取り、補償するべきものだと考えます。
この風評被害について、文芸評論家の斎藤美奈子氏が実に判りやすく分析・説明されています。
東電・政府の言う「風評・風評被害」という言葉に騙されないように!!!
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【現論】「風評」という言葉を見極めよう 斎藤美奈子より転載
3月の東日本大震災以来、気になっている言葉がある。風評、である。
「風評被害に悩む福島県の農家」とか「風評被害のために観光客が激減し」とかいうようにそれは使われる。いずれも福島第1原発の事故による放射能汚染、ないし放射能汚染疑惑にもとづく「被害」である。「風評被害」という言葉で示される事態には、しかし何種類かあるようだ。
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首相は「歩く風評被害」
日光の旅館組合が損賠請求へ 「風評被…
(1)国内における農産物や水産物の買い控え。
(2)海外での日本製品に対する過剰な輸入規制。
(3)国内および海外からの旅行客の減少。
(4)福島県からの避難者が宿泊を拒否されたなどの、人に対する差別。
これらをいっしょにすること自体、ちょっと乱暴なのではないか。
■基本的人権
まず(4)からいくと、このような事態は「人への風評被害」なんていうレベルの話ではない。「誤った認識にもとづく明らかな人権侵害」とハッキリいうべきで、基本的人権の尊重をうたった憲法にも違反する。人は野菜じゃないのである。
(3)は、観光業で生計を立てる人たちには大きな痛手だろう。
けれど、逆の立場だったらどうだろう。米中枢同時テロの直後には米国旅行を、新型肺炎(SARS)が流行した際には中国旅行を、私たちは控えたはずだ。それは非科学的で感情的で身勝手な“風評加害”だったのか。「だって危なそうな国には行きたくないじゃん」と考えてはいけなかったのか。
(2)についても同様だ。
米国で牛海綿状脳症(BSE)の牛が発見されたとき、日本は米国産牛肉の輸入を禁止し、米国に全頭検査と同等の対策を求め続けた。中国産の養殖ウナギから合成抗菌剤が検出されたときも、中国製の冷凍ギョーザで中毒者が出たときも、販売中止によってスーパーから中国製の食品が消えた。それもまた非科学的で感情的で身勝手な“風評加害”だったのか。 (2)と(3)に関しては「原発事故が一段落するまである程度は仕方がない」と考えたほうが、むしろ前向きな対策が立てやすいように思う。
■責任の所在
問題は(1)である。「風評被害に負けるな」といったキャッチフレーズで福島や関東周辺でとれた野菜を直売するなどのイベントが各地で行われている現在、(1)のような行動はとりにくい。後ろめたい気分がつきまとう。 風評という言葉は、責任があたかも消費者にあるかのような錯覚を起こさせる。でもそれは、とんだぬれぎぬ。東京電力と国の責任を消費者に押しつける責任転嫁に近い。
被災地の農家を応援したいという気持ちに異論があるはずもなく、「じゃあ私も福島や茨城の野菜を積極的に買おう」と考える人がいてもいい。
だが、同時に「放射能汚染の実態が明らかになるまで原発に近い地域の農産物は控えたい」と考える人がいることも忘れてはいけない。
■情報隠しの方便
人々が「風評」で動くようになった最大の責任は、情報を迅速に開示せず「ただちに健康に影響はありません」とだけ連呼し続けた政府と行政機関にある。それ以上に問題なのは「風評被害」が情報の隠蔽を正当化する方便に使われていることだろう。風評を避けるという目的で、詳細な放射線量のデータを公表しなかった政府。荒茶の検査を拒否した自治体。 健康に害がないのにいちいち騒ぐな、という人は「食の安全・安心」をみくびっている。賞味期限を1時間すぎた弁当を食べてもたぶん健康に影響はないだろう。レストランで注文した料理に髪の毛が1本入っていたとしても人体に影響はあるまい。それでも私たちの文化は食に厳格な規制と細心の注意を求め、それが生産者と消費者の信頼関係をつくってきた。
消費者の加害者扱いをやめること。風評ではなく、せめて二次被害、三次被害のようなフラットな表現を使うこと。政府が信用できない以上、疑心暗鬼を払拭するためにも、生産者と消費者が信頼関係を取り戻すことが必要ではないか。両者はともに原発事故の被害者なんだし、そして当分、事故が収束する見込みはないのだから。
(文芸評論家 斎藤美奈子/SANKEI EXPRESS)
■さいとう・みなこ 1956年新潟市生まれ。成城大卒。児童書などの編集者を経て94年に「妊娠小説」で文芸評論家としてデビュー。「文章読本さん江」で第1回小林秀雄賞。ほかの著書に「紅一点論」「文壇アイドル論」「文芸誤報」など。
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この風評被害について、文芸評論家の斎藤美奈子氏が実に判りやすく分析・説明されています。
東電・政府の言う「風評・風評被害」という言葉に騙されないように!!!
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【現論】「風評」という言葉を見極めよう 斎藤美奈子より転載
3月の東日本大震災以来、気になっている言葉がある。風評、である。
「風評被害に悩む福島県の農家」とか「風評被害のために観光客が激減し」とかいうようにそれは使われる。いずれも福島第1原発の事故による放射能汚染、ないし放射能汚染疑惑にもとづく「被害」である。「風評被害」という言葉で示される事態には、しかし何種類かあるようだ。
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日光の旅館組合が損賠請求へ 「風評被…
(1)国内における農産物や水産物の買い控え。
(2)海外での日本製品に対する過剰な輸入規制。
(3)国内および海外からの旅行客の減少。
(4)福島県からの避難者が宿泊を拒否されたなどの、人に対する差別。
これらをいっしょにすること自体、ちょっと乱暴なのではないか。
■基本的人権
まず(4)からいくと、このような事態は「人への風評被害」なんていうレベルの話ではない。「誤った認識にもとづく明らかな人権侵害」とハッキリいうべきで、基本的人権の尊重をうたった憲法にも違反する。人は野菜じゃないのである。
(3)は、観光業で生計を立てる人たちには大きな痛手だろう。
けれど、逆の立場だったらどうだろう。米中枢同時テロの直後には米国旅行を、新型肺炎(SARS)が流行した際には中国旅行を、私たちは控えたはずだ。それは非科学的で感情的で身勝手な“風評加害”だったのか。「だって危なそうな国には行きたくないじゃん」と考えてはいけなかったのか。
(2)についても同様だ。
米国で牛海綿状脳症(BSE)の牛が発見されたとき、日本は米国産牛肉の輸入を禁止し、米国に全頭検査と同等の対策を求め続けた。中国産の養殖ウナギから合成抗菌剤が検出されたときも、中国製の冷凍ギョーザで中毒者が出たときも、販売中止によってスーパーから中国製の食品が消えた。それもまた非科学的で感情的で身勝手な“風評加害”だったのか。 (2)と(3)に関しては「原発事故が一段落するまである程度は仕方がない」と考えたほうが、むしろ前向きな対策が立てやすいように思う。
■責任の所在
問題は(1)である。「風評被害に負けるな」といったキャッチフレーズで福島や関東周辺でとれた野菜を直売するなどのイベントが各地で行われている現在、(1)のような行動はとりにくい。後ろめたい気分がつきまとう。 風評という言葉は、責任があたかも消費者にあるかのような錯覚を起こさせる。でもそれは、とんだぬれぎぬ。東京電力と国の責任を消費者に押しつける責任転嫁に近い。
被災地の農家を応援したいという気持ちに異論があるはずもなく、「じゃあ私も福島や茨城の野菜を積極的に買おう」と考える人がいてもいい。
だが、同時に「放射能汚染の実態が明らかになるまで原発に近い地域の農産物は控えたい」と考える人がいることも忘れてはいけない。
■情報隠しの方便
人々が「風評」で動くようになった最大の責任は、情報を迅速に開示せず「ただちに健康に影響はありません」とだけ連呼し続けた政府と行政機関にある。それ以上に問題なのは「風評被害」が情報の隠蔽を正当化する方便に使われていることだろう。風評を避けるという目的で、詳細な放射線量のデータを公表しなかった政府。荒茶の検査を拒否した自治体。 健康に害がないのにいちいち騒ぐな、という人は「食の安全・安心」をみくびっている。賞味期限を1時間すぎた弁当を食べてもたぶん健康に影響はないだろう。レストランで注文した料理に髪の毛が1本入っていたとしても人体に影響はあるまい。それでも私たちの文化は食に厳格な規制と細心の注意を求め、それが生産者と消費者の信頼関係をつくってきた。
消費者の加害者扱いをやめること。風評ではなく、せめて二次被害、三次被害のようなフラットな表現を使うこと。政府が信用できない以上、疑心暗鬼を払拭するためにも、生産者と消費者が信頼関係を取り戻すことが必要ではないか。両者はともに原発事故の被害者なんだし、そして当分、事故が収束する見込みはないのだから。
(文芸評論家 斎藤美奈子/SANKEI EXPRESS)
■さいとう・みなこ 1956年新潟市生まれ。成城大卒。児童書などの編集者を経て94年に「妊娠小説」で文芸評論家としてデビュー。「文章読本さん江」で第1回小林秀雄賞。ほかの著書に「紅一点論」「文壇アイドル論」「文芸誤報」など。
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ホント、消費者を加害者扱いは絶対にしないでほしいですね。
それから、遠くへわざわざ運んでエネルギーの無駄遣いも止めてほしいです。
風評被害だから買おう、なんて、○電の賠償が減るだけなのに、○○は乗せられて買ってるし。
by 1969kana (2011-08-20 01:31)
1969kana さん<東電・政府の賠償責任逃れですよね。
消費者の買い控え=加害者ではないということははっきりさせなくては。。
ゆるい基準値、検査や流通の信頼性のなさが買い控えを呼んでるんで、決して消費者のせいではないことをはっきりさせるべきです。
by 白・嶋・春・富 (2011-08-20 14:45)